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『演習詳解 力学 第2版』のブックカードはこちらです。ほかの章に飛ぶときはこちらからどうぞ
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4-1 座標系の回転編集

 あまり面白くない計算筋トレ問題ですが、一応穴を埋めるような感じで何かしら書いておきます。ごくごく単純に$ x,y $を与えられた式で表したのちに時間で2回微分するだけです。
$ \ddot{x} = \ddot{\xi}\cos\Omega t -\ddot{\eta}\sin\Omega t-\xi\Omega^2\cos\Omega t+\eta\Omega^2\sin\Omega t -2(\dot{\xi}\Omega\sin\Omega t+\dot{\eta}\Omega\cos\Omega t) $
$ \ddot{y} = \ddot{\xi}\sin\Omega t +\ddot{\eta}\cos\Omega t-\xi\Omega^2\sin\Omega t-\eta\Omega^2\cos\Omega t +2(\dot{\xi}\Omega\cos\Omega t-\dot{\eta}\Omega\sin\Omega t) $
という微分の関係が得られます。$ \Omega $が時間によらないからこれで済んだけど、依存していたらどうなっていたことか…。
 あとはこれをもとに$ \xi,\eta $運動方程式に書き換えるという作業が残っています。上の式にcos,下の式にsinをかけて足せば$ \ddot{\xi} $が、上の式に(-sin),下の式にcosをかけて足せば$ \ddot{\eta} $がいい感じに出てきます。計算した結果を書くと
$ m\left[\ddot{\xi}-\xi\Omega^2-2\dot{\eta}\Omega\right] = f_x\cos\Omega t+f_y\sin\Omega t $
$ m\left[\ddot{\eta}-\eta\Omega^2+2\dot{\xi}\Omega\right] = -f_x\sin\Omega t+f_y\cos\Omega t $
となります。座標と同様に力も
$ \begin{pmatrix} f_{x}\\ f_{y} \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} \cos\Omega t & -\sin\Omega t\\ \sin\Omega t & \cos\Omega t \end{pmatrix}\begin{pmatrix} f_{\xi} \\ f_{\eta} \end{pmatrix} $
と定義すると上の式はさらにきれいになって
$ m\left[\ddot{\xi}-\xi\Omega^2-2\dot{\eta}\Omega\right] = f_{\xi} $
$ m\left[\ddot{\eta}-\eta\Omega^2+2\dot{\xi}\Omega\right] = f_{\eta} $
と書けます。もっと運動方程式らしい体裁に整えるなら
$ m\ddot{\xi}= f_{\xi}+m\xi\Omega^2+2m\dot{\eta}\Omega $
$ m\ddot{\eta}= f_{\eta}+m\eta\Omega^2-2m\dot{\xi}\Omega $
と書けます。右辺の第二項が遠心力、第三項がCoriolis力に対応しています。(以前この第3項にsinやcosがついている解答をつくてしまいましたが、それは誤りです)
 以上、計算が大変なだけな問題でしたが、見通し良く計算できる工夫がないわけではないです。
$ \Lambda=\begin{pmatrix} \cos\Omega t & -\sin\Omega t\\ \sin\Omega t & \cos\Omega t \end{pmatrix} $
と定義すると与えられた座標変換は$ \vec{x}=\Lambda\vec{\xi} $と書けて、これの両辺を時間で二階微分すると
$ \ddot{\vec{x}}=\ddot{\Lambda}\vec{\xi}+2\dot{\Lambda}\dot{\vec{\xi}}+\Lambda\ddot{\vec{\xi}} $
と書けます。ここからは成分計算に入るわけですが、座標の変換をばらしてから計算するよりは見通しがいいと思います。
(roundd @haegiwa_kusege 加筆訂正いつでもどうぞ)
(2017/8/1 数式の誤りを修正しました)

4-2 回転運動 編集

 この問題では重力と、重力と平行な方向の抗力は考えないものとします。どうせあったとしてもこの二つは釣り合うので物体の運動には影響しません。さて、水平面上の運動をする物体を、4-1で考えた回転する座標系で見ることを考えましょう。4-1でやったように、その運動方程式は次のように書けます。
$ m\ddot{\xi}= f_{\xi}+m\xi\Omega^2+2m\dot{\eta}\Omega $
$ m\ddot{\eta}= f_{\eta}+m\eta\Omega^2-2m\dot{\xi}\Omega $
 今回は座標系が回る角速度と管が回転する角速度を一緒にしました。回る管を目で追いかけているというイメージです。このとき$ f_{\xi} $は力の動径方向成分になりますが、管は滑らかだと仮定しているのでこれは0になります。さらに、物体が常に$ \xi $軸上にいるようにすると、$ \eta $は常に0になります。
 以上の考察から、運動方程式は次のような形になります。
$ m\ddot{\xi} = \Omega^2\xi $
$ 0=f_{\eta}-2m\dot{\xi}\Omega $
ここで、$ f_{\eta} $というのが管からの抗力にあたります。
 あとはこの微分方程式を解けばよいだけです。上の式を見ると、
$ \xi=e^{-\Omega t},e^{\Omega t} $
という二つの特殊解を持つことが分かります。一般解はこれの線型結合になるので、
$ \xi=C_1e^{-\Omega t}+C_2e^{\Omega t} $
とおけます。あとはこれを初期条件と合致させればいいですね。初期条件t=0でξ=l,dξ/dt=0なので、結局
$ \xi=\frac{l}{2}\left(e^{-\Omega t}+e^{\Omega t}\right) $
$ \,\,\,=l\cosh\Omega t $
になるとわかります。これを運動方程式の下の方に代入すれば
$ f_{\eta}=2ml\Omega^2\sinh\Omega t $
と書けます。管がずっと物体を押しながら回していく様子を想像していましたが、cosは正にも負にもなるので、一部領域では管が逆に物体の運動を抑える方向に力をくわえることもあるようですね。​4-1のミスに引きずられて間違った答えを導いていました。修正後の解ではイメージ通りの結果が出ています。 (roundd @haegiwa_kusege 加筆訂正いつでもどうぞ)
(2017/8/1 4-1の運動方程式を修正したのに伴いこちらも修正しました)

4-3 回転体・解の安定性編集

(1)
 まず問題文が何を言っているのかが少しイメージしづらいですが、これは解答の図を見ればなんとなかるでしょう。解答ではθについての微分方程式を立ててつり合いを考えていますが僕はこの段階ではまだこの方程式が櫃量に安ると気付いていなかったので、高校生でもわかりそうな力のつり合いを使って解きました。水平方向と鉛直方向のつり合いから
$ f\sin\theta=ma\sin\theta\Omega^2 $
$ f\cos\theta=mg $
 fを消去するようにすると
$ \sin\theta\left(-\frac{g}{\cos\theta}+a\Omega^2\right)=0 $
となります。θ=0.πに加え、g<aΩ^2の時はarccos g/aΩ^2のときもつり合い点になりますね。
(2)
 似たような問題が実は2-15にあるんですよね。それと同様の解き方をしましょう。つまり、角度に微小な摂動を与えて、その摂動がどう時間発展していくかを見てみましょう。具体的には、つり合い点をθ=θ_0として、θ=θ_0+δθという摂動を与えましょう。そのためにはθの時間微分が分かる方程式が必要なので、θ方向の運動方程式を使いましょう。
$ ma\ddot{\theta}=-mg\sin\theta+m\Omega^2a\sin\theta\cos\theta $
θ_0は定数であることに注意すると
$ ma\ddot{\delta\theta}=-mg\sin(\theta_0+\delta\theta)+m\Omega^2a\sin(\theta_0+\delta\theta)\cos(\theta_0+\delta\theta) $
さらにδθについて展開したいですね。α=δθ/θ_0は微小と思っているので、次のように展開すればよいです。
$ \sin\theta_0(1+\alpha)\simeq\sin\theta_0 + (\theta_0\cos\theta)\alpha $
$ \quad = \sin\theta_0 + (\cos\theta)\delta\theta $
$ \cos\theta_0(1+\alpha)\simeq\cos\theta_0 - (\theta_0\sin\theta)\alpha $
$ \quad = \cos\theta_0 - (\sin\theta)\delta\theta $
これを使って計算すると
$ a\ddot{\delta\theta} = -(g\cos\theta_0 + a\Omega^2\sin^2\theta_0 -a\Omega^2\cos^2\theta_0)\delta\theta $
計算の途中でθ_0がつり合い点である条件、つまり
$ \sin\theta\left(-\frac{g}{\cos\theta}+a\Omega^2\right)=0 $
を使っています。
 さて、この()の中身をAとすると、Aが負のときは不安定つり合い、Aが正のとき安定つり合いになります。Aが正だと、δθが負のときδθの時間変化は正の方へ、δθが正のときはδθの時間変化は負の方になるからです。あとはΩの大小に合わせてθ_0をそれぞれ代入していけば不安定つり合いと安定つり合いが出てきます。Ωが小さいときはθ=0が安定つり合い、θ_0=πが不安定つり合い、Ωが大きいときはθ_0=arccos g/aΩ^2のときのみ安定つり合いになります。
 唯一微妙なのはg = aΩ^2のときで、これはA=0になります。さらに高次まで展開すると3次のときに
$ \ddot{\delta\theta}=-\frac{\Omega^2}{2}\delta\theta^3 $
となるのでこれは安定つり合いになる。
(ところで、仮にこれがδθの2乗でこのような形になったらδθが正でも負でもδθの時間変化が負になるんでるね…なんだかおもしろいですね)
(roundd @haegiwa_ksuege 加筆訂正いつでもどうぞ)

4-4 回転・ゴム弾性編集

 x,yが回転座標なので、これを用いて運動方程式を書きましょう。
$ m\ddot{x}=-(k_x-m\Omega^2)x+2m\dot{y}\Omega $
$ m\ddot{y}=-(k_y-m\Omega^2)x-2m\dot{x}\Omega $
さて、これをどう解きましょうかって話なんですけど…。解答では
$ x=Ae^{i\omega t} $
$ y=Be^{i\omega t} $
とおいて振動数を求めていますが、そもそも振動数が1つとは限らないですよね、多数の振動モードの重ね合わせで表現される可能性だってあると思うんですよ…。そこで、ここでは解答の方針に従わずFourier変換を用いてこの微分方程式を解いてみたいと思います。Fourier変換は細かい定数倍の定義の仕方で流派の違いがあるのですが、今回は
$ X(\omega)=\int^{\infty}_{-\infty}dt x(t)e^{-i\omega t} $
$ x(t)=\int^{\infty}_{-\infty}\frac{d\omega}{2\pi}X(\omega)e^{i\omega t} $
と定義することにします。二つ目の式を両辺微分すると
$ \dot{x}(t) = \int^{\infty}_{-\infty}\frac{d\omega}{2\pi} i\omega X(\omega)e^{i\omega t} $
と書けます。これはx(t)の時間微分のFourier成分がiωX(ω)と書けることを示しています。x(t)の時間2階微分のFourier成分は-ω^2X(ω)と書けることになります。y(t)とY(ω)についても同様に定義すると、冒頭の運動方程式は次のように書けます。
$ -m\omega^2 X(\omega) = -(k_x-m\Omega^2)X(\omega)+2mi\omega\Omega Y(\omega) $
$ -m\omega^2 Y(\omega) = -(k_y-m\Omega^2)Y(\omega)-2mi\omega\Omega X(\omega) $
これはX(ω)とY(ω)についての連立方程式になっています。行列を用いて書くのであれば
$ \begin{pmatrix} k_x-m\omega^2 -m\Omega^2 & -2mi\omega\Omega\\ 2mi\omega & k_y-m\omega^2 -m\Omega^2 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} X(\omega)\\ Y(\omega)\end{pmatrix} =\begin{pmatrix} 0\\ 0 \end{pmatrix} $
となります。ほとんどの場合X=Y=0が解になるのですが、すべてのωについてX=Y=0だったらx=y=0となってしまい、振動が記述できていませんね。どこかでX,Yが0じゃないようにしないといけません。そうするには左辺の行列の行列式が0になる必要があります。この条件からX,Yが0じゃなくなるようなωの値を計算してみましょう。
$ (k_x-m\omega^2 -m\Omega^2)(k_y-m\omega^2 -m\Omega^2)+4m^2Omega^2\omega^2=0 $
$ m^2\omega^4 -\{m(k_x+k_y)+2m^2\Omega^2\}\omega^2+(k_x-m\Omega^2)(k_y-m\Omega^2)=0 $
$ \omega^2 = \frac{1}{2m}\{(k_x+k_y)+2m\Omega^2\pm\sqrt{(k_x-k_y)^2+8m(k_x+k_y)\Omega^2}\} $
つまり次の4つのωならX,Yは0でなくてもよいということになります。
$ \omega_1 = \sqrt{\frac{1}{2m}\{(k_x+k_y)+2m\Omega^2+\sqrt{(k_x-k_y)^2+8m(k_x+k_y)\Omega^2}\}} $
$ \omega_2 = -\sqrt{\frac{1}{2m}\{(k_x+k_y)+2m\Omega^2+\sqrt{(k_x-k_y)^2+8m(k_x+k_y)\Omega^2}\}} $
$ \omega_3 = \sqrt{\frac{1}{2m}\{(k_x+k_y)+2m\Omega^2-\sqrt{(k_x-k_y)^2+8m(k_x+k_y)\Omega^2}\}} $
$ \omega_4 = -\sqrt{\frac{1}{2m}\{(k_x+k_y)+2m\Omega^2-\sqrt{(k_x-k_y)^2+8m(k_x+k_y)\Omega^2}\}} $
X,Yについてですが、これが有限に収まっていると結局逆Fourier変換したときにx=y=0になってしまうので、X,Yはそれぞれ次のように書けるべきでしょう。
$ X(\omega)=X_1\delta(\omega-\omega_1)+X_2\delta(\omega-\omega_2)+X_3\delta(\omega-\omega_3)+X_4\delta(\omega-\omega_4) $
$ Y(\omega)=Y_1\delta(\omega-\omega_1)+Y_2\delta(\omega-\omega_2)+Y_3\delta(\omega-\omega_3)+Y_4\delta(\omega-\omega_4) $
これを逆Fourier変換すると
$ x(t)=\frac{X_1}{2\pi}e^{i\omega_1t}+\frac{X_2}{2\pi}e^{i\omega_2t}+\frac{X_3}{2\pi}e^{i\omega_3t}+\frac{X_4}{2\pi}e^{i\omega_4t} $
$ y(t)=\frac{Y_1}{2\pi}e^{i\omega_1t}+\frac{Y_2}{2\pi}e^{i\omega_2t}+\frac{Y_3}{2\pi}e^{i\omega_3t}+\frac{Y_4}{2\pi}e^{i\omega_4t} $
となります。ω_i(i=1,2,3,4)が実数のうちはすべての項が振動するので、解そのものも振動するものが得られます。ただしω_iに複素数のものが出てくるとeの指数部分が実数になり収束する項と発散する項が出てきます。その可能性があるのはω_3とω_4です。ω_3の虚部が負のときはxの3項目の指数の実部が正になってこの項が発散します。ω_3の虚部が正のときはxの3項目は収束するものの、このときはω_4の虚部が負になるので、今度は4項目が発散します。
 以上の考察から、ω_3が複素数になると発散する解が得られてしまうということが分かりました。逆にω_3が実数だと二つの振動モードの重ね合わせで書ける振動解が得られます。ω_3が複素数になるのはルートの中が負になるときなので
$ (k_x+k_y)+2m\Omega^2 < \sqrt{(k_x-k_y)^2+8(k_x+k_y)\Omega^2} $
これを整理すると
$ \left(\Omega^2 -\frac{k_x}{m}\right)\left(\Omega^2 -\frac{k_y}{m}\right) < 0 $
となります。Ω^2がk_x/mとk_y/mの間にあるときに不安定な解があるということになります。
(roundd @haegiwa_kusege 加筆訂正いつでもどうぞ)

4-5 Newtonの水桶編集

 流体が絡む問題ですので、基本的な方針としては体積要素を切り出して考える、ということをするのが自然でしょう。円筒座標での体積要素は次のように書けます。
$ dV = \rho d\rho d\theta dz $
流体の密度をσ、圧力をp(ρ,z)と書くことにします。この流体は容器と一緒に回転するという仮定があるので、回転座標から見ると静止流体になっています。つまり、各体積要素において遠心力と圧力が釣り合っているということが分かります。それを式にすると
$ (\sigma\rho d\rho d\theta dz)\rho\Omega^2+p(\rho,z)\rho d\theta dz = p(\rho+d\rho,z)\rho d\theta dz $
となります。圧力にρdθdzがかけられているのは圧力に面積を書けることで力が求まるからです。さて、右辺ですが、これをdρの一次で展開すると
$ p(\rho+d\rho,z)\rho d\theta dz = p(\rho,z)\rho d\theta dz + \frac{\partial p}{\partial\rho}\rho d\rho d\theta dz $
とかけます。これを踏まえたうえで力のつり合いの式を整理すると
$ \frac{\partial p}{\partial\rho} = \sigma\rho\Omega^2 $
となります。ずいぶんと簡単になりましたね。
 さて、あとはpの具体的な形が分かればなんとかなりそうですね。液面の形をz=h(ρ)としておくと、pは
$ p(\rho,z)=\sigma g(h(\rho)-z) $
と書けます。要は考えている体積要素の上に乗っかっている流体の重力が及ぼす圧力を考えればよいわけです。
 これで準備は整いました。作ったpを代入して、hの関数形を決定しましょう。
$ \frac{\partial h(\rho)}{\partial\rho} = \frac{\Omega^2}{g}\rho $
を解けばよいわけですが、これは簡単で
$ h(\rho) = \frac{\Omega^2}{2g}\rho^2 +C $
となります。
 σが式から消えているので、流体の密度によらず同じ形になるんですね。考えてみれば当たり前かもしれませんが、少し不思議な気持ちになります。
(round @haegiwa_kusege 加筆訂正いつでもどうぞ)

4-6 3次元回転の一般論編集

 ベクトルAを二つの基底で表現しようと試みています。この問題では割とどうでもよいことですが、相対論などを勉強するときに大事な心構えなので覚えておくとどこかで得をするかもしれません。
 さて、今はベクトルAを回転座標系の基底で展開することを考えています。つまり
$ \vec{A}=A_{\xi}\vec{i}^{\prime} + A_{\eta}\vec{j}^{\prime}+A_{\zeta}\vec{k}^{\prime} $
と展開して、これを時間で微分します。基底も時間依存性があることに注意しましょう。積の微分法に注意しながら変形すると
$ \frac{d \vec{A}}{dt} = \frac{d A_{\xi}}{dt}\vec{i}^{\prime} + \frac{d A_{\eta}}{dt}\vec{j}^{\prime} + \frac{d A_{\zeta}}{dt}\vec{k}^{\prime} $
$ +A_{\xi}\frac{d\vec{i}^{\prime}}{dt} +A_{\eta}\frac{d\vec{j}^{\prime}}{dt} +A_{\zeta}\frac{d\vec{k}^{\prime}}{dt} $
となります。1行目はd’A/dtにあたります。では2行目はどう処理しましょうか?まず基底の時間変化について考察しましょう。
 基底に関してはちょうど冒頭の説明文の「mがS_Ωに固着している」状態(132p. 12行目)と同様であると考えることができるので
$ \frac{d\vec{i}^{\prime}}{dt} = \vec{\Omega}\times\vec{i}^{\prime} $
と言えます。それでなくても、基底ベクトルは長さが変わらないことから基底ベクトルの先端が角速度ベクトルΩを中心とした半径Ωsinθ(ただしθは角速度ベクトルと基底が成す角)の円周上を、角速度Ωで回るということが分かるので、この考察からも上の式の妥当性がうかがえるかと思います。
 さて、基底の時間依存性についても考察で来たところで、さらに計算を進めてみましょう。
$ \frac{d \vec{A}}{dt} = \frac{d^{\prime}\vec{A}}{dt} + A_{\xi}\vec{\Omega}\times\vec{i}^{\prime} +A_{\eta}\vec{\Omega}\times\vec{j}^{\prime}+A_{\zeta}\vec{\Omega}\times\vec{k}^{\prime} $
$ =\frac{d^{\prime}\vec{A}}{dt} + \vec{\Omega}\times\vec{A} $
と書けます。時間二階微分についても同様に計算すると
$ \frac{d^2\vec{A}}{dt^2} = \frac{d}{dt}\left(\frac{d\vec{A}}{dt}\right) $
$ \frac{d}{dt}\left(\frac{d^{\prime}\vec{A}}{dt}+\vec{\Omega}\times\vec{A}\right) $
となります。ここでΩの時間依存性の有り無しについて考察しろと言われているので、まずはない場合から計算していきましょうか。このときはさらに
$ =\frac{d}{dt}\frac{d^{\prime}\vec{A}}{dt} + \vec{\Omega}\times\left(\frac{d\vec{A}}{dt}\right) $
$ =\frac{{d^{\prime}}^2\vec{A}}{dt^2}+\vec{\Omega}\times\frac{d^{\prime}\vec{A}}{dt} + \vec{\Omega}\times\left(\frac{d^{\prime}\vec{A}}{dt} + \vec{\Omega}\times\vec{A}\right) $
$ =\frac{{d^{\prime}}^2\vec{A}}{dt^2} + 2\vec{\Omega}\times\frac{d^{\prime}\vec{A}}{dt} + \vec{\Omega}\times(\vec{\Omega}\times\vec{A}) $
となります。遠心力っぽい項が出てこないのが不安になる人もいるかもしれませんが、それは
$ \vec{A}\times(\vec{B}\times\vec{C})=(\vec{A}\cdot\vec{C})\vec{B}-(\vec{A}\cdot\vec{B})\vec{C} $
という公式から第三項を計算すると
$ \vec{\Omega}\times(\vec{\Omega}\times\vec{A} = (\vec{\Omega}\cdot\vec{A})\vec{\Omega}-\vec{A}\Omega^2 $
となって、これの第二項目として出ています。安心ですね。
 Ωが時間に依存する場合は、二階微分を計算するときに
$ \frac{d\vec{\Omega}}{dt}\times\vec{A} $
という項を加えるべきでしょう。それ以外は修正不要です。
(round @haegiwa_kusege 加筆訂正いつでもどうぞ)

4-7 対称性と保存量編集

 系の持つ対称性と保存量の間には密接な関係があります。それをネタにした問題がこちらです。(a)で並進対称性、(b)で回転対称性について論じます。
(a)並進対称性
 静止系をS系、速度$ \vec{V} $で動いている系をS'系と名前を付けます。S系におけるエネルギー保存は
$ \frac{d}{dt}\left[\sum_{i}\frac{1}{2m_i}p_i^2 + \sum_{i\neq j}V(\vec{r}_i-\vec{r}_j)\right]=0 $…①
と書けます。ただしS系での運動量をp_iと書いています。同様にしてS'系でのエネルギー保存は
$ \frac{d}{dt}\left[\sum_{i}\frac{1}{2m_i}{p_i^{\prime}}^2 + \sum_{i\neq j}V(\vec{r_i}^{\prime}-\vec{r_j}^{\prime})\right]=0 $…②
と書けます。ここで、並進移動しても粒子の相対距離が変わらないことに着目するとポテンシャルの項はS系とS'系で変わらないと考えられます。さらに、S系の運動量とS'系の運動量は次のような関係で結ばれています。ただし、S系から見たS'系の移動速度を\vec{V}と書くとします。
$ \vec{p}_i^{\prime} = \vec{p}_i -m_i\vec{V} $
そこで、①-②を計算すると
$ \frac{d}{dt}\left[\sum_{i}\frac{1}{2m_i}(p_i^2-{p_i^{\prime}}^2)\right]=0 $
となる。左辺はさらに
(左辺)$ = \frac{d}{dt}\left[\sum_{i}(-m_i\vec{V})\cdot(2\vec{p}_i-m\vec{V})\right] $
$ =-\vec{V}\cdot\left[m_i\frac{d}{dt}(2\vec{p}_i-m\vec{V})\right] $
ここで、$ \vec{V} $が任意で、しかも時間によらないので結局導き出される結論は
$ \frac{d}{dt}\sum_{i}\vec{p}_i = \vec{0} $
となります。これは運動量保存にほかなりません。
(b)回転対称性
 (a)と同様に考えます。ただし回転する座標系には遠心力のポテンシャルを含める必要があります。
 静止系であるS系のエネルギー保存は上の①通りになります。S'系のエネルギー保存については次のようになります。
$ \frac{d}{dt}\left[\sum_{i}\frac{1}{2}m_i\dot{r}_i^2 + \sum_{i\neq j}V(\vec{r}_i^{\prime}-\vec{r}_j^{\prime})-\sum_{i}\frac{1}{2}m_i\{\Omega^2{r_i^{\prime}}^2-(\vec{\Omega}\cdot{\vec{r}_i^{\prime}})^2\}\right] = 0 $
と書けます。
 ここで、S系とS'系を橋渡しします。まず、(a)と同様の理由でポテンシャルの項はS系とS'系で同じになります。また、位置ベクトルについては次のように言えます。
$ r_i=r_i^{\prime} $
$ \dot{\vec{r}_i}^{\prime} = \dot{\vec{r}_i} -\vec{\Omega}\times\vec{r}_i $
となります。以上の考察を踏まえて①-②の左辺を計算すると
$ \frac{d}{dt}\left[\sum_{i}\frac{1}{2}m_i(\dot{\vec{r}_i}^2-\dot{\vec{r}_i^{\prime}}^2) + \sum_{i}\frac{1}{2}m_i\{\Omega^2{r_i^{\prime}}^2-(\vec{\Omega}\cdot{\vec{r}_i^{\prime}})^2\}\right] $
$ = \frac{d}{dt}\left[m_i(\vec{\Omega}\times\vec{r}_i)\cdot\dot{\vec{r}_i}\right] $
$ \frac{d}{dt}\left[\vec{\Omega}\cdot\sum_{i}\vec{r}_i\times(m_i\dot{\vec{r}_i})\right] $
 ここでΩは任意で時間に依存しないので、結局
$ \frac{d}{dt}\sum_{i}\vec{r}_i\times(m_i\dot{\vec{r}_i}) = \vec{0} $
となります。これは角運動量保存そのものです。
 ちなみに、解析力学に踏み込んでお話しすると、Noetherの定理というのがあります。対称性があればそれに対応する保存量があるというのがその主張です。実際並進対称性に対応する保存量は運動量、回転対称性に対応する対称性は角運動量です。
 さらに量子力学に踏み込みます。ここでは並進変換をつかさどる物理量が運動量、回転変換をつかさどる物理量が角運動量になります。具体的な形を書くと
$ \vec{a} $だけ平行移動→$ T(\vec{a})=\exp\left(-\frac{i\vec{p}\cdot\vec{a}}{\hbar}\right) $
・θだけ回転→$ R(\theta) = \exp\left(-\frac{i\vec{L}\theta}{\hbar}\right) $
と書かれます。
(roundd @haegiwa_kusege 加筆訂正いつでもどうぞ)

4-8 地球上の重力(1)編集

 地球上の運動方程式を書き下そうという試みです。ここまでの問題に対処できた人であればそこまで難しい話ではありません。4-6で考えた一般論を使って計算してもいいですし、いつも通りゴリゴリ計算していってもいいでしょう。あくまでも趣味の問題ですが僕はこの種のゴリマッチョ計算が結構好きなのでゴリゴリ計算していきます。
 まず、座標系を設定しましょう。動く座標系としては指示されているようにすればよいのですが、それ以外にも考えやすさのために動かない絶対座標系を作っておきましょう。今回は地球の中心から北方向をz方向、それ以外の適当な方向にx,y軸をとって考えました。

Fig1

座標の置き方


 まず、座標系の基底がどのよう時間変化するかを考えてみましょう。原点O'の位置が地球の中心Oからみて
$ \vec{OO'} = \begin{pmatrix} R\cos\phi\sin\theta\\ R\cos\phi\cos\theta\\ R\sin\phi \end{pmatrix} $
となっているとします。Rは地球の半径、φは北緯、θはx軸からの経度です。このときO'から出る3つの基底は絶対座標の基底を用いて次のように書けます。
$ \vec{e}_{\xi} = \sin\phi\cos\theta\vec{e}_x + \sin\phi\sin\theta\vec{e}_y -\cos\phi\vec{e}_z $
$ \vec{e}_{\eta} = -\sin\theta\vec{e}_x + \cos\theta\vec{e}_y $
$ \vec{e}_{\zeta} = \cos\phi\cos\theta\vec{e}_x + \cos\phi\sin\theta\vec{e}_y +\sin\phi\vec{e}_z $
 この基底がどのように時間発展するかを見てみましょう。計算上θの時間微分が出てきますが、これは地球の自転の角速度ωのことです。
$ \dot{\vec{e}_{\xi}} = \omega\sin\phi\vec{e}_{\eta} $
$ \dot{\vec{e}_{\eta}} = -\omega(\sin\phi\vec{e}_{\xi} + \cos\phi\vec{e}_{\zeta}) $
$ \dot{\vec{e}_{\zeta}} = \omega\cos\phi\vec{e}_{\eta} $
 さらに二階微分は
$ \ddot{\vec{e}_{\xi}} = -\omega^2\sin^2\phi\vec{e}_{\xi}-\omega^2\sin\phi\cos\phi\vec{e}_{\zeta} $
$ \ddot{\vec{e}_{\eta}} = -\omega^2\vec{e}_{\eta} $
$ \ddot{\vec{e}_{\zeta}} = -\omega^2\sin\phi\cos\phi\vec{e}_{\xi}-\omega^2\cos^2\phi\vec{e}_{\zeta} $
となります。以上を踏まえて位置ベクトル
$ \vec{r} = \vec{OO'} + \xi\vec{e}_{\xi} + \eta\vec{e}_{\eta} + \zeta\vec{e}_{\zeta} $ の二階微分を考えます。
$ \ddot{\vec{OO'}} = -R\cos\phi\omega^2(\cos\theta\vec{e}_x + \sin\theta\vec{e}_y) $
$ =-R\omega^2\cos\phi(\sin\phi\vec{e}_{\xi} + \cos\phi\vec{e}_{\zeta}) $

$ \frac{d^2}{dt^2}(\xi\vec{e}_{\xi}) = \ddot{\xi}\vec{e}_{\xi} + 2\dot{\xi}\dot{\vec{e}_{\xi}} + \xi\ddot{\vec{e}_{\xi}} $
等に注意して計算すると
$ \ddot{\vec{r}} = (-R\omega^2\cos\phi\sin\phi + \ddot{\xi}-\xi\omega^2\sin^\phi-2\dot{\eta}\omega\sin\phi-\zeta\omega^2\sin\phi\cos\phi)\vec{e}_{\xi} $
$ +(2\dot{\xi}\omega\sin\phi-\eta\omega^2 + \ddot{\eta} + 2\dot{\zeta}\omega\cos\phi)\vec{e}_{\eta} $
$ +(-R\omega^2\cos^\phi-\xi\omega^2\sin\phi\cos\phi-2\dot{\eta}\omega\cos\phi-\zeta\omega^2\cos^2\phi)\vec{e}_{\zeta} $
となります。これが加速度です。
 次に力について考えます。基本的には力を
$ \vec{F}=f_{\xi}\vec{e}_{\xi} + f_{\eta}\vec{e}_{\eta} + f_{\zeta}\vec{e}_{\zeta} $
と分解して運動方程式を書けばそれで終わりなんですが、今回万有引力だけ特別扱いして考えましょう。特に、地表面近くの万有引力は
$ \vec{F}_g = -mg_0\vec{e}_{\zeta} $
と書けます。今回はこれを使っていきましょう。ここで用いたg_0は加速度の次元を持つ量で、厳密には重力加速度と区別されます。万有引力以外の力を改めて
$ \vec{F}=f_{\xi}\vec{e}_{\xi} + f_{\eta}\vec{e}_{\eta} + f_{\zeta}\vec{e}_{\zeta} $
と書きます。
 このとき運動方程式は次のようになります。ただし地表面近くについて考えるので
$ |\xi|,|\eta|,|\zeta| << R $
と近似することにする。そうすると運動方程式は
$ m\ddot{\xi} = mR\omega^2\cos\phi\sin\phi + 2m\dot{\eta}\omega\sin\phi + f_{\xi} $
$ m\ddot{\eta} = -2m\dot{\xi}\omega\sin\phi-2m\dot{\zeta}\omega\cos\phi+f_{\eta} $
$ m\ddot{\zeta} = mR\omega^2\cos^2\phi + 2m\dot{\eta}\omega\cos\phi-mg_0+f_{\zeta} $
 座標の1階微分に比例する項はコリオリ力を表しています。地表面近くの静止した物体が受ける下向きの力を考えるために座標の1階微分を0としてしまいましょう。すると
$ m\ddot{\zeta}=-mg_0+mR\omega^2\cos^2\phi + f_{\zeta} $
となります。一般的に最初の2項(つまり万有引力と遠心力の合力)を重力と呼んでいて、これを普段は-mgと書いています。わざわざ万有引力をg_0で区別して書いたのはこのためです。遠心力は緯度によって変わるので一般に重力は緯度によって変わりうるということが分かります。g_0より3桁ほど小さいオーダーで効いてくるので、重力加速度を精密に測ろうとするとそこそこ大きいファクターになりえます。
(roundd @haegiwa_kusege 加筆訂正いつでもどうぞ)