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『演習詳解 力学 第2版』のブックカードはこちらです。ほかの章に飛ぶときはこちらからどうぞ
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1-1 弧座標 編集

Zougenn
この問題で扱われているのは弧座標という表示方法です。

この座標のとり方は本問題集で初めて見たのですが、懸垂線(カテナリー)の形を表すために用いていることもあるようです。検索すると出てきます。

解き方としては弧座標表示であらかじめ与えられた式をデカルト座標に変換し、何の図形を表しているかを確認することです。

(1)では三角関数の積分、(2)では微分して増減表をつくること、そして(3)では部分積分が必要になります。

他の問題との関連としては、2-13において斜面を運動する質点の運動を調べる為に用いられています。ちなみに2-13の問題は共立出版の詳解力学演習でも同じ問題があります。ただ弧座標ではなくデカルト座標を用いて解かれています。

最初の問題らしく、小手調べといった感じの問題です。

(2)の増減表を右に挙げておきます

(@kojinncircle_en)

1-2常らせん 編集

(1)らせん運動をデカルト座標で見ます x-y平面への射影が円運動、そしてz方向は(問題文においてピッチがh

として与えられているので)x-y平面の円運動が一周するごとにhずつ動きます 角速度は自分で勝手に置きます

ベクトルが直交するとき内積がゼロになることを用います

余談ですがベクトルを用いると余弦定理が簡単に出てくるので受験の時気に入って使っていました(別にベクトルをわざわざ使わなくとも三平方の定理を用いれば自然に導出できるのですが)

(2)ベクトルの大きさを求めてそれを向心加速度に等しいと置くだけです

(3)問題に与えられている外積が入った式に先に求めた速度の式を代入して計算します ちょっと面倒なのですが2,3回やれば慣れます 得られた式からベクトルがどのように動くかを考えます 解答には首ふり運動と書いてありますが、ぼくはハンマーを投げようと回転している室伏広治さんみたいな運動かなあと考えました 入試ならバツを食らいますね

以上で問題は終わりです 初めてやった時は外積計算が面倒で仕方なかったです ベクトル解析の授業を受けた後でようやく慣れました 

らせんといえば磁場中の荷電粒子の運動が思い浮かぶと思います 山本義隆の「力学と微分方程式」という本で扱われています 
2017030304200000

オマケ 余弦定理の導出


この本には複素数を用いて二つの方程式を一つにまとめて解く方法が挙げら

れていますが、同じ方法が演習詳解力学でもちょいちょい出てきます たとえば剛体の運動の

章でのソリの運動を調べる問題です

中村徹の力学の本には「解答に多くのすぐれた工夫がなされている」と紹介されています 複素数を用いた工夫もその一つなのでしょうか

1-3 デカルト座標から極座標系への変換 編集

2017020206580000
2017020206580001
座標変換の問題です この問題で身につけることは位置ベクトルと速度ベクトル(または加速度ベクトル)を描いて、三角関数を用いて変換することです 回転行列を用いても良いのですがこの程度の問題に使うのは大げさな気がします。

極座標表示の加速度を求めることは、単純に極座標系での速度を微分することでは求まりません 

デカルト座標での速度を微分し、それから極座標系に変換することが必要です ものすごく面倒でした

解析力学を学ぶと、あまりにも簡単に加速度が求まるので感動した覚えがあります

(1),(2)は図を描けばわかると思います この辺の計算は山本義隆の新物理入門にも載ってました(剛体の運動のところで)

(3)は面積速度の式をしっていないと分からないです または角運動量の式です。それさえ知っていれば(2)でもとめた式からすぐに答えが分かります

余談になりますが、面積速度と角運動量は似て非なるものです たぶん質量がかかっているかいないかが大きな違いです。事実、昔の受験参考書には角運動量保存則が成り立つけれども、面積速度は一定にならない問題があります

その問題集とは谷藤祐というひとが書いた「必修物理問題演習」という本です。谷藤祐は駿台で講師をしていたこともある人で、戦時中に開設されていた特別科学学級で学んだのち、金沢大学に進み、坂間勇と共著論文を描いたりしてる人です 謎が多いです 

(特別科学学級は京都と大阪にもあったそうです 京都の学級には映画監督として有名な伊丹十三、そして大阪には作家の筒井康隆がいたとウィキペディアにはあります 日刊イトイ新聞に伊丹十三さんの記事があるので興味がある人はぜひ読んでみてください)

さてものすごく難しい問題集である演習詳解力学もここまでは基礎的な事柄を問う問題でした つぎからちょっと面倒になります 

5/1追記 面積速度が保存せず、角運動量が保存する例となる問題を貼っておきました 自信のある人は解いてみてください 

1-4 楕円軌道の加速度 その接線方向成分と向心方向成分 そして楕円の曲率中心について 編集

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(a)まずすべきなのは楕円のパラメタ表示です これは高校でも習うと思います わたしはチャート式で学びました

角速度は適当に置けばいいのですが大抵はωとおきます

パラメタ表示ができたらそれを時間で二階微分します こうして加速度が求まり

ました

さてここで必要となるのがベクトルの内積計算です 

たとえば二次元のデカルト座標の原点を始点とするベクトル(仮に r とします)があって、そのx,y成分を知りたいとき、各方向の単位ベクトルとの内積をとれば求まります よく受験参考書で初速度を成分に分ける必要のある問題があったと思いますが要はアレだと私は認識しています


今の場合、何のベクトルとの内積をとればいいかというと、加速度の接線成分については速度ベク
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トルをその大きさで割ったもの(要するに単位ベクトル)との内積です 

なぜなら速度ベクトルは常に軌道に接しているからです 速度成分はパラメタの一次微分で求ま

っています その大きさもすぐに求まるので、そうして求めた単位ベクトルと加速度のベクトルの内積をとればよいです


つぎに法線成分の求め方ですが、これは直交するベクトルの内積がゼロになることを知っていれば解けます

つまり先に求めた接線方向の単位ベクトルに直交するベクトルを見つけて、それと加速度ベクトル

との内積をとれば終わりです この法線方向の単位ベクトルが後の問題で必要になってきます

(b)物理のかぎしっぽの記事を参考に解いたのは憶えているのですがあいにくノートが見つかりませんでした

たしか既知の曲率半径の公式と同じ式になったはずです ノートを見つけたら書き足します


(c)楕円の曲率中心の運動を求める問題です (a)で求めた内向き法線成分ベクトルに曲率半径を乗

じて、それを楕円のパラメタと足し合わせればよいのですが、ぼくは違う方法で求めました

楕円軌道上の二点における法線を考えます 二直線の傾きの差をΔθとして交点を求め、いい感じに式

を整えてからΔθ→0の極限をとれば出てきます かっこつけた方法ではなく慣れ

親しんだ方法で解きたかったのだと思います

けれどもこの方法はとにかく計算が面倒です 頭の悪い方法だったと反省しています でも極限を取ってきれいに式が出てきたときは感動しました あまりに面倒だったのでy成分しか出していません…計算の結果出た式はアステロイドのパラメタ表示にほかなりません アステロイドは高校のとき問題集で微分の練習問題として出たような

(d)実は定量的には納得していません 定性的には、楕円の曲率が変化するのと同時に曲率半径の長さもそれに応じて伸び縮みしているからだというふうに理解しています

1-5 楕円軌道 角運動量 加速度 編集

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(a) 前問でもあった楕円のパラメタ表示です パラメタを消去すればデカルト座標での楕円を表す式が得られます

(b) 角運動量をデカルト座標で表すとどうなるかを知っているかどうかです。新物理入門に書いてあります 

楕円のパラメタ表示を代入して整理すると確かに一定値になります

(c)パラメタを二回微分すれば加速度が求まります 得られるのは単振動の式です 加速度が常に原点方向を向いていることも分かると思います(マイナスが付いているので)

(d)最後の問題です (c)までがすごく簡単だったので「おや?物理に開眼できたのかな?」と一瞬思ってしまいそうになりましたがとんでもなかったです 
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この問題は、極座標系での角運動量の式を用いて、(b)とおんなじ結果になるかどうかを確かめることが必要になります 

角度を表すのにアークタンジェントが必要になります これはすぐ表せると思います 大学一年生が使うような教科書を見れば大抵載ってます

さて、かんじんの角運動量の計算なのですが、これがすごく面倒でした わたしにもできたので時間をかければ誰でも結果を導けるとは思いますが、まあ面倒でした

中村孔一さんが、力学の醍醐味というのは例えば積分においてナイスな変数変換を探したり、要領のいい計算方法を見つけたりすることだという意味のことをおっしゃっていた記憶があります(ciniiで読めます) これを考えるとぼくは力学の醍醐味を味わえていないことになります 憂鬱です

1-7 三次元極座標の単位ベクトル 編集

だいたい解答を見ずに解けるようになったので概要だけ取り急ぎ書いておきます 途中計算は後で貼っておきます

三次元極座標の単位ベクトルを外積を使って表し、さらに単位ベクトルとの内積で速度ベクトル、加速度ベクトルを求める問題です 

極座標を用いた速度、加速度の表示は大抵の初等的な物理数学の本に書いてあると思います(手元にある共立出版の「物理と理工系の数学」には載ってました)ただ、大抵の本での計算方法は極座標をデカルト座標と絡めて計算するやり方で、単位ベクトルとの内積で求める方法は載っていません 私が見たことある物理数学の本はたかが数冊なので載せてる本もあるのかもしれないです

位置ベクトルの時間変化は伸び縮みだけとは限らず、回転も加わる可能性があるため、単純に微分するだけでは求まらないところが面倒さの原因です この問題でのように単位ベクトルとの内積で考えるとちょっとだけ計算が楽です

計算するうえでのポイントは①ベクトル三重積 ②スカラー三重積 ③要項で説明されているベクトルとスカラーの関係式の利用 ④式の読み替え この四つぐらいです これさえ分かってれば理系の学生ならすぐできるようになります

とはいえ④についてはやった経験がないと気づかないと思います(気付かないのは自分だけかもしれないですが)

要綱で説明されていた角速度ベクトルの計算は省かれている部分が多い気がするので、途中計算をあげる際には要項の分も載せておきます

単位ベクトル1

単位ベクトル2

2017-5-4(kojinncircle_en)









単位ベクトル3









単位ベクトル4
単位ベクトル5
単位ベクトル6







単位ベクトル7
単位ベクトル8


















単位ベクトル9
















5月12日 途中計算貼りました

























1-8 犬と鎖に引きずられる人の運動 編集

面白い問題です。

・犬の運動が一直線上であること

・人の進む方向(=速度方向)が犬がいる方向であること

・人と犬の距離が一定であること

から人の軌跡が求まります。犬の速さは関係ありません。

犬がx軸上を運動するとして、人の位置を(x,y)と置いて微分方程式を立てます。

解説では変数変換をしてから積分に持ち込んでいますが、積分の形にしてから変数変換を考えるほうが馴染み深いとは思います。好みの問題だとは思いますが・・・

ちなみにこの積分、自分はノーヒントでは解けない気がします・・・(笑)

こういうのも解けるようにならないとですね・・・

結果をグラフに表すと、下図のようになりました。直感と一致していますね。

グラフ自体は単純ですが式は結構複雑で、等速直線運動をしている犬が持つ鎖に引きずられるという単純な運動からここまで複雑な式が出てくるところなんかも面白い気がします。
1-8

追記:図中の式、修正しました。
== 1-9 発音体(極座標の応用例) ==
この問題は江沢洋が採用したものだと思います。なぜなら江沢氏の著作「理科が危ない」で取り上げられているからです。出典は坂井卓三の「一般力学」です。

さて、音を発しながらある地点に向かう物体が、自ら出した音と一緒に目的地点に到着するための条件を考えることが求められます。

発音体の速さが音の速さよりも大きいので、一直線に目的地に向かうことはできません。なので(どういう形なのかは分からないとして)カーブしながら目的地に向かうのだということが分かります。右回りか左回りかは本質的な問題ではないので、ここでは左回りにカーブしながら出発するのだと考えます。

坂井卓三の力学の教科書からの画像を貼っておきます。図を見るとイメージしやすいです。
Image (81)
うずまき
二枚目の図のように、微小時間では弧PQは線分とみてよいです。図では直線と書いてしまいましたが…

図2の最後の式の両辺をアールドットで割ると、変数分離形の式が出てくるのでそれを積分すれば発音体の軌道が出てきます。その軌道は対数渦巻と呼ばれるものです。

図に書き忘れたのですが。発音体が最初に基準線を横切る際のrの値を適当においておけば積分定数が求められます。





1-10 追跡問題 編集

正方形の部屋の各隅に1匹ずついる亀が、互いに真隣の亀を目指して同じ速さで歩き始めるとどのような軌跡を描くか、という問題です。
図形的な考察がポイントで、解答にもあるように速度の方向と位置ベクトルのなす角が\frac{\pi}{4}となるため正負に注意して

-\dot{r}:r\dot{\theta} = 1:1

\frac{dr}{d\theta}=-r

と微分方程式が導かれます。

これを解いてr=\frac{\sqrt{2}}{2}ae^{-\theta}になります。

この軌跡は以下のようになります。

Output

(gifです。クリックして再生させてみてください)

(b)ではこの軌跡の長さを求めます。普通に積分すれば求まって、正方形の1辺の長さと等しくなります。
この事実の初等的な説明ってあるんでしょうか。感覚的にはわかる気もしますがうまく説明できる気はしません。どなたかわかる方がいらっしゃれば加筆していただけると幸いです。

(Kohei Ichikawa @hybrid_rainb0w)

1-12 一様速度の流れを進む舟編集

おさるがふねを4

昔の東京医科歯科大学の物理の過去問で川を渡る問題がありました。新体系物理でも何問か出てきます。これらの問題では舟の速度が何に対する速度なのかを意識することが重要でした(つまり岸に対する速度なのか川に対する速度なのか)

本問題では舟の速度は川の水に対する速度です(…と私は考えています)

ただ受験用の問題と違って難しい点は舟の軌道の式を求めるところです。苑田先生のいう完全情報が求められるのがきついです。

(a)座標を立てて速度の式を書くだけです ただ座標を立てるときの工夫として、対岸のB点を原点にとることが注意点と言えるでしょうか B点を原点にとると角度の定義がしやすいからです 計算するうえでタンジェントの式が必要になるので必然と言えると思います。

舟の速度にコサインがかかっているので、船が流れに逆らって(つまり速度がーx方向を向いて)対岸にたどり着くには流れの速さよりも大きい速さで舟を進める必要があります x方向の速度の式からその条件はv>Vであることが分かります。

(b)ここで必要となるのは①三角関数の微分②積の微分法③結果が対数となる積分です これらは高校で習う分で間に合いますが、もう一つ必要なのが次の

④三角関数の有理式の積分は適切な置き換えをすることにより単なる有理式の積分になる

ということです。一応受験参考書の一対一対応の数学(数学Ⅲ)に載ってましたが、大学一年の授業で習うことが多いのではないかと思います。

積分を行うと出てくる定数は初期条件から求められるのですが、演習詳解の解答ではしれっと初期条件から定数を決定するプロセスを省いています。求め方もあとで貼っておきます。(フォロワーの方に教えていただきました。ありがとうございます!)

舟の軌道の式が出たら、あとは軌道を図示するための情報として、船が最も下流に来る位置を求めます。これは舟の軌道がy軸に対して傾きゼロになる点です。要するにxをyについて微分してゼロと置いた式を整理すれば条件が出てきます。(これもフォロワーの方に教えてもらいました)

軌道を図示するための条件を出したところで手で図を描くのは難しい気がします。適当なソフトを用いて描くのがよさそうです。ただ、舟の速さが流れよりもものすごく大きいときはA→Bへと一直線に進むことは直感的にわかりそうです。舟の速さが流れよりもわずかに大きいときは、対岸まで流れに負けつつ進み、対岸にたどり着いたのちに岸に沿ってB点にたどり着くのもなんとなくわかります。

(c)まだまとめ切れていないので出来次第書き足します。
おさるがふねを1




おさるがふねを2







1-14 無限小回転のベクトル表現 編集

様々な参考書で見かける物理数学の問題です。無限小回転がベクトルで表されることを, 複数回の無限小回転の合成が1回の無限小回転と同様の表式で表現されることから示します(くどい)。

数式中で太字に出来なかったので, あーこれはベクトルだな, と脳内補完してください, お願いします。

はじめに無限小回転による位置ベクトルの移動を補足説明します。

大きさ1の単位ベクトルnと位置ベクトルrのなす角を φ(rad)とおくと, 直角三角形を描き三角比から回転軸中心の円の半径は rsinφ になります。これは外積n×rの大きさと等しくなっています。

円弧の大きさは回転角(rad)と半径の積で与えられたため, その大きさは δθn×r となります。このベクトルの向きは単位ベクトルの向きの取り方から回転の向きと等しくなっています。したがって, 位置ベクトルの変遷が分かります。有限の回転角については, 物理のかぎしっぽのベクトル代数1「ベクトルの回転」のページ(http://hooktail.sub.jp/vectoranalysis/vectorRot/) が役に立つでしょう。有限の回転はロドリグの公式と呼ばれまとまった形になっています。

次に, 無限小の回転角の2次の項を無視する部分について補足説明します。

\delta \theta_2 n_2 \times (\delta \theta_1 n_1 \times r)は, ベクトル解析の公式A×(B×C) = (C・A)B - (B・A)Cを用いることで,

(\delta \theta_2 n_2 \cdot r) \delta \theta_1 n_1 - (\delta \theta_1 n_1 \cdot \delta \theta_2 n_2)r

と変形され, 2項ともに無限小の回転角の積が現れます。ベクトル解析の公式として与えましたが, 成分ごとの計算を行ってもそれほど負担の大きい計算ではないと思います。レビチビタの記号を用いるとすっきりと示すことができるでしょうか(ちょっと力不足です)。

かくして複数回の無限小回転の合成が1回の無限小回転と同様の表式で表現されました。「回転軸がてんでバラバラな場合でも,無限小回転ならばこの表現でもいい」というのはやや直感に反していると感じましたが, なかなか面白い帰結だと思います。この問題のレジュメ作る意味あったかなあ、ふええ。 (清涼 @tn_cider)

1-15 3次元の回転の合成の法則を球面三角法で考える 編集

 2つの回転の合成が必ず一つの回転で表されるはずだということが直観的にわかれば,これを球面上の点の移動と考えたときに,回転を合成した後に必ず位置を変えていない場所が球面上に2箇所見つかる.これが合成された回転の軸となる2点である.

 ここで,視点を変えて,合成回転軸の球面上の点Tを話の主人公にする.Tは地球儀のTokyoということにしてみよう.Tにあった飛行機が,アメリが西海岸の地点Uまで行って,帰って来たとする.

 このとき,TとUのちょうど中間の地点をCとすると, Cをとおり,大円TUに直角に交わる大円ACBを球面上に描けば,大円AC上の点Rから行きの飛行機を観測すると移動角度ω_1が得られ,大円CB上の点Sから行きの飛行機を観測すると移動角度ω_2が得られる,これらの角度はCからの距離によるが,まずはここまでのところを自分で図に書くと良いだろう.

 すると,設問の状況で大円RTの延長上の点Vが回転R(\omega_1)で,大円RUの延長上の点Wに移り,これが続く回転S(\omega_2)でもとのVのそばの点V'に移ることがわかるだろう.TVとTV'の距離は同じになるべきであることに注意)

 点Rや点Sは,地球の反対側の点R'やS'ではωの正負が逆になるので図に書くときは「Cに近い方の点」で考えるのがよい.

 1回の軸の回転で作られる球面三角形は,直角2等辺三角形になることを思い出せば,次の図が描ける.


IMG 0017

Fig1.15.1


 ①がR(\omega_1)の回転で円弧TUはT点の運動の軌跡

 ②はS(\omega_2)の回転で円弧UTはU点の運動の軌跡

 ③は①と②のUとTを一致させて重ねた図に補助線を引いたもの

 ここで,RSとUTの交点をCとすれば,前述の飛行機が実際には①と②の経路を通っていても,UとTを結ぶ経路ならRやSからみれば角度は同じなので,UTを結ぶ最短経路を飛んだと想像したのが,前述の例え話である.

 最後に,回転を連続なものではなく,点から点へのジャンプとして,重要な補助線を残した図が④となる.

この図の∠STV=∠SUW=∠STV'=(1/2)ωにより,題意は証明できる.





FullSizeRender 2

Fig.1.15.2

[別解]1辺と2角が与えられれば三角形が唯一に定まるのは,平面幾何学でも球面幾何学でも等しく成り立つことは大前提とする.以下,平面幾何学でも球面幾何学でも共通に成り立つことだけを使って考察するので,注意してほしい

①球面上に任意の三角形RSTが与えられた時,RTの延長上で∠RST=∠VSTとなる点Vを置き,三角形RSVを描く.

②RVを軸としてSと線対称な位置にUをおくと,RSVと鏡像になる三角形RUVができる.

③この三角形RUVをRを中心に回してUをSに重ねる.すると,この三角形RSV'にはTが移動したT'がある.

④つぎにS=U'を中心にT'をTに重ねる.するとV'はV’’に,RはR'に移動する.2つの三角形はもともと鏡像であったので,線SR'はSVと重なり,SV’’はSRと重なる.この図に①の角度ABCを書き込んでまとめると,②の回転の角度は2A=ω_1,③の回転の角度は2B=ω_2,その結果④よりTから見たVとV’’の角度は2C=ωとなる.したがって,①の図のA=(1/2)\omega_1,B=(1/2)\omega_2,C=(1/2)\omega.証明は以上である.

(@coJJyMAN)

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