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15.相対性理論における素粒子編集

16.場の4元ポテンシャル編集

 ここでは、前の章で考えた作用関数に、さらに「場が物質に及ぼす作用」を考えます。まだ「場そのものの作用」や「物質が場に及ぼす作用」は計算に入れません。この「場が物質に及ぼす作用」は次のように書かれるとされています。
-\frac{e}{c}\int^{b}_{a}A_idx^i
 これは残念ながら(?)理論的要請というよりは経験的事実として紹介されています。まぁ、自然科学である以上どこか実験に頼らなければならないわけで、そこにぶち当たってしまったというわけですね。
 ここで出てきた4元ベクトルAは成分で書くと
A^i = (\phi,\vec{A})
と書け、0成分がスカラーポテンシャル、1,2,3成分がベクトルポテンシャルと呼ばれています。電磁気学を勉強済みの人は、そのときに勉強したであろうスカラーポテンシャルとベクトルポテンシャルです。ただし使っている単位系が違うので微妙に単位が異なって見えるかもしれません(当然この単位系の違いによって作用の形も変化します。これについては最後のMSKA単位系での対応する式を書きます)。
 こうして得られた作用積分を改めて書いておくと、次のようになります。
S = \int^{b}_{a}\left(-mcds +\frac{e}{c}\vec{A}\cdot d\vec{r} -e\phi dt\right)
\quad= \int^{t_2}_{t_1}\left( -mc^2\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}} +\frac{e}{c}\vec{A}\cdot\vec{v}-e\phi\right)dt
 作用積分を時間の積分として書いたときに被積分関数がラグランジアンになるので
L=-mc^2\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}} +\frac{e}{c}\vec{A}\cdot\vec{v}-e\phi
と書けます。さらにここから対応する一般化運動量\vec{P}(=\partial L/\partial\vec{v})とハミルトニアンH(=\vec{v}\cdot (\partial L/\partial\vec{v})-L)を計算しておくと
\vec{P}=\frac{m\vec{v}}{\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}}+\frac{e}{c}\vec{A}
\quad=\vec{p}+\frac{e}{c}\vec{A}
H=\frac{mc^2}{\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}}+e\phi
となります。
 ここまでの結果をMSKA単位系に代えたものを書いておきます。これを導く過程はブログに載せておきましたので、ご覧おきください(Link:まだ)。
A^i = (\phi/c,\vec{A})
S=\int^{b}_{a}\left(-mcds -eA_idx^i \right)
L=-mc^2\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}+e\vec{A}\cdot\vec{v}-e\phi
\vec{P}=\frac{m\vec{v}}{\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}}+e\vec{A}
H=\frac{mc^2}{\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}}+e\phi

17.場の中の粒子の運動方程式編集

 場が電荷に及ぼす影響について考慮したラグランジアンを前節で考えたので、これを用いて場が電荷に及ぼす力についても計算することができます。オイラー・ラグランジュ方程式
\frac{d}{dt}\left(\frac{\partial L}{\partial\vec{v}}\right) -\frac{\partial L}{\partial\vec{r}} = 0
を計算すればよいです。
 これを忠実に計算すると次のようになります。
\frac{d\vec{p}}{dt}+\frac{e}{c}\frac{d\vec{A}}{dt} -\frac{e}{c}\nabla\left(\vec{A}\cdot\vec{v}\right)+e\nabla\phi = 0
\frac{d\vec{p}}{dt} = \frac{e}{c}\nabla\left(\vec{A}\cdot\vec{v}\right)-e\nabla\phi -\frac{e}{c}\frac{d\vec{A}}{dt}
 これが運動方程式になります。左辺に出てきている運動量のベクトルは非相対論的な運動量ではなく相対論的な運動量、すなわち
\vec{p}=\frac{m\vec{v}}{\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}}
のことです。右辺が力に相当しますが、これについてはもう少しきれいな形になります。整えていきましょう。
 まず、第3項ですが、ベクトルポテンシャルが位置と時間の関数であると考えて
\frac{d\vec{A}}{dt} = \frac{\partial\vec{A}}{\partial t} + \frac{\partial\vec{A}}{\partial x}\frac{dx}{dt} + \frac{\partial\vec{A}}{\partial y}\frac{dy}{dt} + \frac{\partial\vec{A}}{\partial z}\frac{dz}{dt}
= \frac{\partial\vec{A}}{\partial t} +(\vec{v}\cdot\nabla)\vec{A}
と書けます(ごくちなみにこの計算は流体力学などでも出てくるおなじみの計算なので、知っておくとよいでしょう)。
 続いて第1項についてです。本書の公式
\nabla(\vec{a}\cdot\vec{b}) = (\vec{a}\cdot\nabla)\vec{b} + (\vec{b}\cdot\nabla)\vec{a} + \vec{b}\times(\nabla\times\vec{a}) + \vec{a}\times(\nabla\times\vec{b})
を用いて、速度が位置と独立であるとすると、運動方程式の右辺の第1項は
\frac{e}{c}\nabla\left(\vec{A}\cdot\vec{v}\right)=\frac{e}{c}\vec{v}\times(\nabla\cdot\vec{A})+\frac{e}{c}(\vec{v}\cdot\nabla)\vec{A}
と変形できます。

 あとは、与えられた公式を証明しておきましょう。これを証明するために、次の二つの積を考えます。
\vec{b}\times(\nabla\times\vec{a}),\vec{a}\times(\nabla\times\vec{b})
これらのi番目の成分は、完全反対象テンソルeを使って次のように書けます(この証明では添え字の上付き下付きはいったん忘れます)。 e_{ijk}b_j(e_{klm}\partial_{l}a_{m}),e_{ijk}a_j(e_{klm}\partial_{l}b_{m})
 これを展開すると最初のものは
e_{ijk}b_j(e_{klm}\partial_{l}a_{m})=e_{ijk}e_{klm}b_j(\partial_{l}a_{m})
=e_{kij}e_{klm}b_j(\partial_{l}a_{m})
=(\delta_{il}\delta_{jm}-\delta_{im}\delta_{jl})b_j(\partial_{l}a_{m})
=b_j(\partial_{i}a_{j})-b_{j}\partial{j}a_{i}
=b_j(\partial_{i}a_{j})-(\vec{b}\cdot\nabla)a_{i}
 同様にして次の積は
=a_j(\partial_{i}b_{j})-(\vec{a}\cdot\nabla)b_{i}
と展開できます。二つを足し合わせると
\left[\vec{b}\times(\nabla\times\vec{a})\right]_i+\left[\vec{a}\times(\nabla\times\vec{b})\right]_i = b_j(\partial_{i}a_{j})-(\vec{b}\cdot\nabla)a_{i} + a_j(\partial_{i}b_{j})-(\vec{a}\cdot\nabla)b_{i}
=\partial_{i}(a_jb_j)-(\vec{b}\cdot\nabla)a_{i} -(\vec{a}\cdot\nabla)b_{i}
=\partial_i(\vec{a}\cdot\vec{b})-(\vec{b}\cdot\nabla)a_{i} -(\vec{a}\cdot\nabla)b_{i}
となります。ここから本書で与えられていた
\nabla(\vec{a}\cdot\vec{b})=(\vec{a}\cdot\nabla)\vec{b} + (\vec{b}\cdot\nabla)\vec{a} + \vec{b}\times(\nabla\times\vec{a}) + \vec{a}\times(\nabla\times\vec{b})
が示せます。

 さて、本題に戻ります。以上の計算から、運動方程式は次のように整えられます。
\frac{d\vec{p}}{dt}=\frac{e}{c}\vec{v}\times(\nabla\times\vec{A})+\frac{e}{c}(\vec{v}\cdot\nabla)\vec{A}-e\nabla\phi-\frac{e}{c}\frac{\partial\vec{A}}{\partial t}-\frac{e}{c}(\vec{v}\cdot\nabla)\vec{A}
=e\left[\frac{\vec{v}}{c}\times(\nabla\times\vec{A})+\left(-\nabla\phi-\frac{1}{c}\frac{\partial\vec{A}}{\partial t}\right)\right]
 ここで、次のような量を定義しましょう。
\vec{E}=-\nabla\phi-\frac{1}{c}\frac{\partial\vec{A}}{\partial t}
\vec{H}=\nabla\times\vec{A}
そうすると、計算した力は
e\left[\frac{\vec{v}}{c}\times\vec{H}+\vec{E}\right]
となります。このEを電場、Hを磁場と呼びます。「ふつう逆やろ!」ってツッコミが入りそうな気がしますが、作用を仮定して計算すると電場と磁場を導くことができ、ローレンツ力を導出することができました。
 最後にこの力によってエネルギーがどう変化するかを確認しましょう。Newton力学だと両辺に速度を内積で掛けて積分すればよいのですが、そう単純そうではありません。そこで、運動エネルギーの時間変化を計算してみましょう。運動エネルギーは
E_{{\rm kin}}=\frac{mc^2}{\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}}
と書き表されるので、この時間変化は
\frac{dE_{{\rm kin}}}{dt}=\frac{m\vec{v}\cdot\frac{d\vec{v}}{dt}}{\left(1-\frac{v^2}{c^2}\right)^{3/2}}
となります。一方で、運動量の時間変化は
\frac{d\vec{p}}{dt}=\frac{m\frac{d\vec{v}}{dt}}{\left(1-\frac{v^2}{c^2}\right)^{3/2}}
と書けるので、結局は
\frac{dE_{{\rm kin}}}{dt}=\vec{v}\cdot\frac{d\vec{p}}{dt}
となります。これを見ると結果的にNewton力学の事情と一致してしまうんですね。
 さて、今回考えている運動方程式に限って言うと
\vec{v}\cdot\frac{d\vec{p}}{dt}=e\vec{v}\cdot\vec{E}
となります。速度と磁場の外積は速度のベクトルと垂直だからです。電磁気をすでに勉強している人であれば「電場は電荷に対して仕事をするが、磁場は仕事をしない」ということが表れています。
 最後にMSKA単位系での式を書いておきたいと思います。
\frac{d\vec{p}}{dt}=e\left[\vec{v}\times(\nabla\times\vec{A})+\left(-\frac{\partial\vec{A}}{\partial t}-\nabla\phi\right)\right]
\vec{E}=-\nabla\phi -\frac{\partial\vec{A}}{\partial t}
\vec{B}=\nabla\times\vec{A}
 Bは磁束密度と言って厳密には磁場のHとは異なるものですが、似たようなものです。実際最近ではMSKA単位系の自然な磁場としてBを採用することが多く、なんならBのことを「磁場」と呼ぶこともあります。

18.ゲージ不変性編集

19.不変な電磁場編集

20.一様な不変の電場の中の運動編集

21.一様な不変の磁場の中の運動編集

22.一様な不変の電場および磁場の中の電荷の運動編集

23.電磁場テンソル編集

24.場のローレンツ変換編集

25.場の不変量編集

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